「幹部育成が思うように進まない…」「幹部候補の見つけ方がわからない…」
そういった悩みを抱えている企業も少なくないことでしょう。
では、一体どうすれば幹部育成を成功させることができるのでしょうか?
この記事では、幹部育成について皆さんが気になる疑問をわかりやすく解説していきます。
〈目次〉
1.なぜ幹部育成が必要なのか?
2.幹部育成が進まない理由
3.幹部候補を見つける3つの方法
4.幹部に必要とされる6つの資質
5.幹部を育成する方法
1.なぜ幹部育成が必要なのか?
なぜ企業には幹部育成が必要なのか考えたことはありませんか?
企業の最終的な戦略や意思決定を担うのは経営者ですが、とりわけ中堅中小企業やベンチャー企業の場合には、社長1人の肩に重責がのしかかっている場合も多いでしょう。
しかし、成功している社長の周囲には必ず優秀な経営幹部がいるのも事実です。
統括分野に関して責任をもって運営して、社長の負担を軽減し、社長が重要な意思決定や未来を考える時間を確保できる状態が実現しています。
経営幹部は専門分野の見地から社長に提言する重大かる重要な存在でもあるのです。
また、戦略や意思決定するだけでは、現実は何も変わりません。
名だたるグローバル企業の経営アドバイザーとしても知られるラム・チャラン氏による名著『経営は「実行」』は、多くの経営者が指針とする書籍です。
時価総額6兆円を超えるグローバル企業を築いたファースト・リテイリングの柳井正氏は、ラム・チャラン氏の『徹底のリーダーシップ』日本語訳の解説を行っているほどの心酔者です。
その中でも柳井氏は『いい企業と悪い企業でやっていることは、表面上はほとんど一緒です。やるべきことも一緒です。
何が違うかといえば、『どの程度までやるのか、どの水準を目指すのか、それだけです』と実行の重要性を語っています。
では、「経営における実行を担うのは誰か?」といえば、要は経営幹部であり、リーダーです。
幹部育成やリーダー育成がうまく進まなければ、企業の意思決定や事業計画が実行されることはなく、企業の成長が困難なことは明らかです。
意思決定だけではなく、ミッションやバリューを浸透させるうえでも、ロールモデルとなるのは経営幹部やリーダーです。
経営幹部やリーダーが、日常でどんな言葉を使ってメンバーに語り掛けているかが、ミッションやバリューの浸透と実践度を左右していくので、幹部育成はとても重要なものなのです。
2.幹部育成が進まない理由
幹部育成やリーダー育成が進まない理由は、基本的に2つあります。
1つ目は、幹部育成やリーダー育成に対して、経営上の重要度に見合ったリソースを投下していないということです。
一般的な社員教育と違い、幹部やリーダーの育成は単純なスキル教育ではありませんし、社内で教育を実施できる人がいないことが多いでしょう。
外部研修を使うにしても、単なる知識のインプットではないからこそ、1人30~100万円と高額な研修がほとんどです。
また、研修は知識や心構えのインプット、内省や振り返りとして有効ですが、本当の育成は仕事上の経験を通じて行われます。
部下が育たないと嘆く前に、リーダーや幹部を成長させるためのキャリア機会の提供や、時には本人の耳に痛い内容を含めたフィードバック、外部研修への派遣など、経営上の重要度に見合った工数や費用を投資しているか見直してみる必要があるでしょう。
2つ目は、育成期間が長いということです。
育成はリーダークラスでも1~3年、幹部や経営チームの後継者であれば3~10年スパンと非常に長くなります。
3年後、5年後、10年後の組織図から逆算して人財育成を行えているかも考えるべきところです。
このように、幹部育成が思うように進まない理由は決まっているので、まずはそこを改善していく必要があるのです。
3.幹部候補を見つける3つの方法
幹部候補を見つける方法としてはいくつかありますが、企業や組織が抱えている課題や育成期間から逆算して、決めるのがベストでしょう。
では、幹部候補を見つける3つの方法について、簡単に説明します。
①社内公募
幹部候補を見つける方法として真っ先に思い浮かぶのは、社内公募です。
社内公募では、社内から幹部候補となるべき人材を選出します。
そんな社内公募のメリットは、社員のモチベーション向上と既存知識・経験を生かせる可能性の高さです。
社内でキャリアアップを目指す道が明確に示されるわけですから、社員がこれまでより高い意識で働いてくれる可能性があります。
また公募する立場から見ても、自発的に応募してくる社員は育成しやすいですし、これまで社内で働いてきた経験を生かしやすいのもメリットです。
②リファラル採用
リファラル採用も幹部候補を見つける方法として最適です。
社員の紹介によって人材を探して採用するのがリファラル採用です。
SNSなどコミュニケーションツールの発達・普及もあり、以前に比べてリファーラル採用がしやすい環境になったたといえるでしょう。
リファラル採用における候補者は、自社を理解した社員からの推薦のため、会社の方針から大きく外れた人材が挙がってくるリスクは低いと考えられます。
③中途採用
中途採用で幹部候補を見つける方法もあります。
新たな風を組織に吹かせるべく、外部から人材を登用する企業も少なくないようです。
職務経歴やスキルだけではなく、自社の風土にマッチする人材であるかを確認することが大切です。
求人メディアや人材紹介会社、ヘッドハンターなどさまざまな採用チャネルがありますが、求める人材像と自社の採用予算に合わせて選定しましょう。
幹部を見つける方法は様々にあるので、自社にとって一番適切な方法で見つけていくのがおすすめです。
4.幹部に必要とされる6つの資質
幹部候補となる人材は、一体どのように選出したらよいのでしょうか?
では、幹部候補に求められる資質を6つご紹介します。
①柔軟性
幹部に必要とされる資質として、柔軟性が挙げられます。
柔軟性は既存の方針・習慣にとらわれず、そのときの状況や相対する顧客・パートナーなどに応じて最適と思われる対応方針を定められる能力を指します。
近年は企業を取り巻く環境変化はスピードを増し、多様化が進んでいます。
国や地域、業種など異なる価値観を持つ相手と一緒に仕事をする機会は、さらに今後も増えていくでしょう。
このような環境下で固定観念にとらわれては、事業の進行や意志決定の正確さ・スピードなどに支障をきたすリスクが高まってしまいます。
相手に合わせるだけではなく、柔軟かつスピーディーに適確な判断をくだせる資質は、幹部候補に欠かせないといえるでしょう。
②コミュニケーション能力
コミュニケーション能力も、言うまでもなく必要になります。
経営者は、社内外において、広くコミュニケーションを求められるケースがあります。
経営に関する折衝もあれば、従業員と働き方についての意見交換など、内容は多岐に及びます。
このように、多様な立場の人と目線を合わせられるようなコミュニケーション能力は、幹部候補がぜひとも鍛えておきたい能力です。
③胆力
胆力は、逆境にくじけず業務を推進できる力であり、対立や競争のなかでも自分の意見を貫けることでもあります。
社内において経営方針をめぐる対立や、社外においては競合他社・他業界などとの競争によって、経営者にはさまざまな課題が日々突きつけられるでしょう。
幹部候補には、必要に応じて自分の業務や思いを貫く強さも必要です。
ただし、ひとりよがりでは周囲がついてきません。
先に挙げた柔軟性も兼ね揃えていることが望ましいでしょう。
④視野の広さ
視野の広さも、幹部には必要な能力です。
自社や自社グループ全体の経営状態を総合的に把握するためには、経営や会計、人事といったバックオフィスから、営業や開発といった現場まで、多角的な視点を持つことが必要です。
また、国内外の政治や経済にも目を向けて、常に自社の置かれた立場を把握する意識も求められます。
⑤社会や経営などの幅広い知識
幹部候補には、社会や経営などに関する幅広い知識が求められます。
事業別組織や機能別組織など、企業戦略に基づいた組織設計をするための知識だけでなく、現代社会で必要とされているハラスメント防止策や、メンタルヘルス対策など、人事・労務の知識も必須となってきます。
適切な経営のかじ取りをするための財務知識、会社の信頼性を守るための情報セキュリティの知識といった、会社を安定的に成長させていくための勉強は必要不可欠です。
⑥リーダーとしてのマインド
最後に必要なのが、リーダーとしてのマインドです。経営はスキルや能力だけでなく、経営者本人の人格や価値観によっても左右されます。
幹部は時として、自己の欲求よりも組織を優先しなければなりません。
組織のトップに立つ存在として「自分だけが良ければいい」という利己的な価値観では、周囲が意見に従わなくなってしまい、その結果事業で大きな成果を成し遂げるのは困難となるでしょう。
リーダーシップがある人材は頼りがいがあり、細かな指示をしなくても部下がついてくる可能性大です。
ちょっとした失敗にもくよくよしない、メンタルの強い人材は幹部候補の適役となりえます。
5.幹部を育成する方法
幹部候補を見つけた後に大切になるのが、育成プランです。
どんなに優秀な人材を採用することができても、きちんと育成ができなければ宝の持ち腐れになってしまいます。
将来的に経営上の重要な領域を任せるわけですから、正しい育成方法を用いながら効率的に経験を積ませるようにしましょう。
幹部候補を育成するには以下の4つの方法が効果的です。
①1on1ミーティングを定期的に行う
幹部を育成する方法として、1on1ミーティングがあります。
現在の幹部と、幹部候補が1対1で定期的に対話し、互いの情報交換をする機会を設けることで、習得すべき能力、知識を改めて振り返ることができるほか、両者が感じている現状の課題を意見交換する、絶好の機会にもなるでしょう。
双方の貴重な意見をすり合わせることで、新たな発見ができることも考えられ、会社にとってより良い選択ができる可能性が高まるでしょう。
②経営層と懇談会を行う
経営層と懇談会を行うのも幹部育成には重要です。
基本方針をトップと同じレベルで共有するためには、トップとの接触時間を増やし、強化を受けることが非常に大切になってきます。
定期的に懇談会などを開催し、トップとの接触頻度や時間を増やすことで、考え方や想いの共有レベルを向上させられます。
③フォロー体制を整える
今後、会社を牽引していく立場になるということは、当然のことながら重大な責任も併せ持たなければならないという意味を持ちます。
特に初めのうちは、覚えることの多さや責任から、強いストレスを感じる幹部候補も出てくるかもしれません。
企業は、プレッシャーや不安を軽減するフォロー体制をしっかり整え、定期的なストレスチェックやカウンセリングを行う体制づくりが求められるのです。
④外部講師や専門家に依頼して研修を実施する
外部講師や専門家に依頼して、プロの指導を直接受けさせるのも、人材育成には有効な手法です。
豊富な経験を積んだ外部講師から質の高い研修を受けると、受講者の理解度も高まり、研修の結果を強く実感することができます。
社内の研修では、スキルの習得に不安が残るという場合には、外部研修を検討してみても良いでしょう。
また、幹部育成で悩みを抱えているなら、FYSがおすすめです!
人材育成のプロであるFYSなら、幹部育成に対して、具体的にどのような教育をすれば成功できるのか、解決することができます。
次期幹部育成、管理職育成、部下育成でお悩みの方はぜひ一度相談してみるのをおすすめします!
まとめ
この記事では、幹部育成について「なぜ幹部育成が必要なのか?」「幹部育成が進まない理由」「幹部候補を見つける3つの方法」「幹部に必要とされる6つの資質」「幹部を育成する方法」の観点から、わかりやすく解説しました。
幹部候補を正しい方法で見つけて、幹部の資質を把握した上で育成していくことの重要性が理解できました。
有能な幹部が会社で育ち、広い社会に羽ばたいていけると幸いです。